HbA1cとは

血糖値は食事の摂取や運動などによって、絶えず変動しており、とくに糖尿病ではその変動が大きいことが特徴であるとされています。ある時の血糖値がその人のふだんの血糖コントロールを正確に反映しているとは限らないわけです。そこで、過去およそ1~2ヶ月間の血糖の推移が良かったか悪かったかを総合的に知るための血液検査として、HbA1c値が使われています。

2012年4月から国際的な比較がたやすくなるように、日本でのHbA1cの表記法が変更され、独自のJDS値から他の多くの国で使われているNGSP値に変えられました。ただし、厳密な国際標準化が行われたのではなく、ヨーロッパではIFCC値とよばれる数値が使われており、世界的に統一されたわけではありません。

日本糖尿病学会では、2013年6月1日から、従来の「血糖コントロール指標と評価」から新しい「血糖コントロール目標」への変更が行われました。多くの患者さんにおける合併症予防のための血糖管理目標をHbA1c7%未満、適切な食事療法運動療法だけで達成可能な場合の目標をHbA1c6%未満、低血糖やその他の理由で治療が難しい場合の目標をHbA1c8%未満としています。
さらにその後、高齢者での低血糖の危険性を配慮して、年齢や認知症の有無によって段階的に緩和したHbA1cの目標値が設定されています。

当院では迅速測定機器を導入しています。採血後約1.5分で精度の高いHbA1c値を知ることができますので、治療の変更などにスムーズに対応することが可能です。

なお、HbA1cのほか、腎機能が低下している場合や、貧血のある場合、あるいはさらに短い期間の血糖コントロールの指標として、グリコアルブミン(GA値)や1-5アンヒドログルシトール(1-5AG値)なども使われています。